シトウレイ:チャレンジする、その行為自体が美しい

学生時代に軽い気持ちで始めたストリートスナップがいつしかライフワークとなり、ストリートスタイルフォトグラファー・ジャーナリストとして活躍するシトウレイさん。街で出会った人々のスタイルを写真と文章でキャプチャーした「STYLE from TOKYO」で独自のスタイルと表現ツールを確立し、日本のみならず、世界からも注目される存在に。そんな彼女のクリエイティブな活動の原動力、これまでの歩みの中での成長の物語について教えてもらいました。

東京のストリートや世界のファッションウィークでスナップ写真を撮り続けていらっしゃいますが、シトウさんがクリエイティブな刺激を受けるものとは?

ファッションを楽しんでる人にインスパイアされてしまいますね。それがまず大前提としてある上で、ファッションに対するチャレンジをしている人に魅力を感じます。それはイコール完成度の高さでは決してなくて、チャレンジする、その行為自体が美しいと思うんです。誰でもおしゃれしてきた日って“オレ、今日イケてるの着て来たぞ”って、ウキウキしたり気持ちが晴れやかになったりしますよね。そういう気持ちが溢れている姿って“なんか素敵だな”って。そういう人に刺激を受けて、レンズを向けたくなります。


ファッションを心から楽しんでいたり、チャレンジしたり、そういうファッションへのパッションを感じる人にフォトグラファーとしてインスパイアされるんですね。

でも私自身は、アーティストというより記録係だと思っているんです。自分ではドキュメントを撮ってるつもりなんです。私は、物を作る側の人間ではなくて、美しいものを作っている側の人を写真でキャッチする役割かなって。なぜなら、被写体の方がクリエイティブだと思うから。“こんな着こなしがあるんだ!”って、毎回感動してしまうんです。ファッションに対して自由に想像して、チャレンジすること、それってアーティスティックなことですよね。だからひとり一人、すごいことをしているのにあんまりそれに気づいてないって不思議に思うんです。それに気がついて自信を持てれば、自分がすごく美しい存在だ、かけがえのないものだっと思えるのに。



パリコレなど世界のファッションウィークでもスナップ撮影をされていますが、海外に出たときには東京とは違い、どんな刺激を受けていますか?

パリは、原宿で感じる爆発力とか勢いのあるファッションとはまた違って、洗練をすごく感じます。モードの本場ゆえの歴史を垣間見たり、ファッションの本質的な強さを感じたり。同時に新しいもの、おもしろいものもあって。パリコレ中は、毎日スナップに立っていて、1日1000枚くらい撮影します。行けるショーにはすべて行くようにもしていて、最近はビッグメゾンのショーよりもオフコレクションでやっている若手のブランドに積極的に足を運ぶようになりました。ビッグメゾンのショーに名の知れたファッショナブルな人が来るのはわかっているんだけど、そうしたショーでは出会えない、自分の頭で考えた着こなしをしている若くておもしろい人たちをカメラに収めたいなって思って。


原宿でのストリートスナップからスタートし、2013年にはNYのアートメディアBOULIN ART INFOに「注目すべき日本のブログTOP10」に選出されるなど、国内外から注目を浴びるまでに成長された、その原動力は何でしょうか?

やったことがないことには常にチャレンジするって決めてます。どんな依頼がきてもとりあえずやってみる。自分で自分の限界を決めたくないし、やったことがなくても必死に頑張ることで後から実力もついてくるかなって。これまでも目的や最終ゴールを決めて自分から突き進むというよりも、やっているうちに“こっちの方がいいかなって、あっちの方がいいかな”ってチューニングをしながら進むうちに、今の形になっていったという経緯があって。だからこそ、これからも変わっていく可能性は全然あるし、その時々で“こっちの方がいいんじゃないかな”っていう方向に進むべきだし、今の形にこだわってちゃいけないなって思うんですよね。


最後に、先日ヘルシンキにあるマリメッコの本社を訪れたシトウさん。現地ではどんなインスピレーションを受けましたか?

マリメッコの工場がすごく美しくていいなと思いました。働いているスタッフさんたちはきっと“好きの延長線上に仕事があるんだな”って。例えば、作業着もみなさんマリメッコを着ていたんですが、制服というわけじゃなくて、好んで着てるんですよね。それって自分が作っているものが心から好きだという証だし、自分のクリエーションと仕事に誇りを持っているということ。ファッションは自分のアイデンティティの現れだし、愛しているからその服を着るというのは、素敵なことですよね。



Omote sando Renewal Reception photo shoot by Rei Shito



シトウレイ profile
ストリートスタイルフォトグラファー/ジャーナリスト。東京・表参道を中心に、世界中のストリートファッションを写真と文章でキャプチャーしたwebサイト「STYLE from TOKYO」を主宰。雑誌や新聞での執筆、ストリートスタイルからランウェイまでファッションに対する幅広い知見を生かし、企業アドバイザーやファッションセミナー講師なども務める。NHK「シトウレイのファッション道」が公開中。11/21(水)には、ファッションセミナーを開催予定。