石本藤雄
テキスタイルデザイナー
1941年 愛媛県生まれ
東京芸術大学 グラフィック・デザイン専攻
1964-1970年 広告デザイナー
1970-1974年 ヘルシンキのディセンバーにデザイナーとして在籍
1974年 マリメッコ テキスタイルプリントデザイナー就任
各国に作品が展示され、数多くの賞を受賞している
テキスタイルとセラミックデザイナーの石本藤雄は、1974年よりマリメッコで作品を制作してきました。それ以前にはDe´cembre companyにて4年間様々な作品を手がけ、そこでマリメッコのキャンバスバッグのデザインと制作に携わりました。1960年代に、東京でマイヤ・イソラによってデザインされたファブリックに深い感銘を受け、そこからマリメッコ、背景にあるフィンランドのデザインとは何かを知るために、フィンランドへ旅に出たのが始まりでした。今も石本の探求の旅は続いています。
テキスタイルデザイナーとしてのあなたの作品のスタイルを教えてください
私がテキスタイルをデザインする上で最も大切なことは、自然を感じさせるものであるということです。それは自然の要素やテクスチャーを、テキスタイルとその色にテーマとして反映しているからです。作品の為に自然の動きに着目し、新しい色を探し続けています。
あなたは日本の田舎町で育ったそうですが、それはあなたにとってどのような影響があったと思いますか?
わたしは幼い時から、ものの見方を自分なりに体得してきたと思います。外ではよく草むらの中でぼーっと寝転がって、周りの自然や空を眺めていました。その時のイメージは私の心の原風景として強く残っています。例えば、Lepo(レポ/休憩), Taiga(タイガ/ツンドラ) 、Maisema(マイセマ/風景)のパターンには、その時のイメージがファブリックに表現されています。日本人として培われた私の美意識と自然のイメージが、そこにあります。
日本の自然のイメージとフィンランドのものとはどのように違いますか?
私が感じたことは、フィンランドでは人は自然の中に共存するような捉え方です。一方、セントラルヨーロッパでは自然とはまずランドスケープであるという捉え方です。日本はその両方の側面を持っているような気がします。
あなたが特にフィンランドで見つけた自然の素晴らしさとは何でしょうか?
湖と自然のランドスケープの美しさです。その広々とした湖や沼は神秘的です。水面には永続的に変化する風景が映し出されています。
あなたの作品において最も大切なことは何ですか?
止まることのない動的な変化。私のデザインはその連続的な変化の世界を描写しつづけることだと思っています。
あなたは陶芸家でもあります。テキスタイルデザイナーとしての作品と異なる点を教えてください。
陶芸において、私は手でつくることに魅力を感じています。粘土で手を動かしていると、自ずと素材を理解していきます。そのある一瞬に形は生まれます。粘土もファブリックも同じように色とその素材の表現をもっています。私にとってその中でふさわしい色、色の世界を探っていくことがとても意味のあることなのです。
あなたを一言で表現すると?
静かでおとなしいと思います。私は大騒ぎしたり、興奮することは好きではありません。しかしストイックで楽しみを抑えるという意味ではありません。むしろ私はいつも楽しく人生を送りたいと思っています。他の仕事仲間と接することも好きですし、いつもポジティブに自分、物事について捉えています。そういった意味でマリメッコのコミュニティにいることは、私にとってはとても大切なことです。無理に型にはめることなく、自然に人生の流れに沿って生きていくことが大切だと思います。
過去そして現在においてマリメッコはあなたの人生においてどういう意味をなしていますか。
私がマリメッコで活動していることには、とても意味があると思っています。私個人だけでなく、マリメッコのデザイナー石本として活動していることに意味があります。マリメッコは、私たちの創作の自由を尊重しています。ある人の家の為にテキスタイルを自由にデザインできることは素晴らしいことです。その思想、環境の中に溶け込んで創作活動ができるのです。